ウェイビーが起業家と成し遂げたいこと

ウェイビーが起業家と成し遂げたいこと

2016年7月14日
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先日知り合いと話していてこんなことを言われた。「起業した人は起業すればいいじゃんとかって言うけど、じゃあ起業してできた会社の社員のことも同じように(起業すればいいと)考えているの?」すさまじい切れ味の一言で、たしかになと、どう返答するか内心ヒヤッとした。日本の開業率が低いとか、先進国は日本の倍以上の数値だとか言われているが、たとえばアメリカでは開業率と同じ水準で廃業率も高く、両者とも10%ほどだと言われている。またあるとき「夜遅い時もあるし、土日に監視しなきゃいけないときもあるけど、代休も取れるし月に1回有給絶対とらなきゃいけないし、年功序列だけどこの会社で一生働く」と、SI大手で働くエンジニアの友人が話していた。本稿の終盤で語られるが、現代では幸せの多様化が認められて(きて)いるということだと思う。大企業で働くのも、中小企業を選ぶのも、自分で会社をつくってしまうこともできる。そもそも働かなくてもいいだろう。選択の幅は広がり、その選択はより自由になってきている。前職時代の先輩で、起業家支援を生業に起業したウェイビーの北見副社長に、大きく「起業」について聞きに行った。

北見大輔氏プロフィール
慶應義塾大学経済学部卒業後、ベンチャー企業に就職。その後幼なじみ4人で、株式会社ウェイビーを設立。現代表取締役副社長。「起業家とともに世界を変える」をミッションに、起業家支援事業を幅広く行う。日本最大級の起業イベントやビジネスマン向けビジネスコンテスト、20代限定の起業塾の開催、起業家が集うコワーキングスペースの運営等を通じ、日本に今以上に多くの起業家が生まれてくることを目指し、活動している。

-起業支援をサービスとして提供していますが、北見さんは最初から起業しようと思っていたのですか?

北見氏(以下、敬称略) 高校生くらいから起業することは決めてました。ただ、まずは一度社会人を経験しようというありがちな考えで就活して就職しましたね。就活のときに始めて仕事について考えたのですが、方向性は2択あるなと思っていました。1つはボランティアだとかソーシャルグッドなこと、もしくはビジネスを通して誰かに喜んでもらうこと、このどっちが自分に向いているのかなと考えていました。たとえば、ディズニーランドは困っている人を助けるわけじゃないけど、“ビジネスを通して誰かに喜んでもらうこと”の究極系だなと思っていて、その空間にいるだけで日常とは違った夢の世界にいるような気がして本当に楽しい気持ちになりますよね。ディズニーランドみたいに、自分の仕事を通じて誰かが喜んでくれたり、幸せを感じてくれる、そういうサービスが自分にあってるのかなと考えていました。

-どんな分野に興味があったのですか?

北見 特にこれだ、というものはなくかったのですが、とにかくベンチャーに入ろうと思っていました。起業すると決めていたから、おもしろそうなことをやっていて、起業時に役に立ちそうなスキルが身につきそう、という観点で選んで受けていましたね。実際、第一志望の企業に入社できたので、バリバリ働きましたね。忙しいけどとにかく楽しかったです。

-ウェイビーの創業はどんなものだったのでしょう

北見 勤めていた会社での毎日は本当に刺激的で楽しかったのですが、ひょんなきっかけで小学校からの友達4人で起業することになったんです。社会人の2年目の夏頃、やりたいこともスキルもなかったのですが、この友達と一緒になにかをやりたいという気持ちが勝ってしまって、なにも決まっていないのに会社を作ってしまいました。なんの準備もしていないのでまったくお金がなく、創業メンバー4人の貯金をあわせて30万しかなかいという状態でのスタートでした。株式会社を設立するのにだいたい25万円くらいかかるかので、残りの5万円を資本金に入れて会社をつくりました。会社名は世の中に良い波を起こして世界を変えたいという思いから、ウェイビーという名前にしました。

-すごい勢いですね。。。

北見 僕たちは事業プランというものを一つも持っていなかったので、会社設立後、まずなにをする会社なのか、みんなでアイディアを持ち寄りながら事業プランを考えていました。

-なにかビッグアイディアは出ましたか?

北見 当時は事業の作り方なんてまったくわからなかったのですが、何か世の中の課題を解決することがビジネスになるんじゃないかなと思っていました。そこで課題を探してみると、僕たちの地元横浜の鶴見駅周辺が、放置自転車がすごく多いエリアだったんですね、これを解決することができれば事業になるんじゃないかなというアイディアが出てきました。放置自転車って撤去されてからは一定期間保管してもらえるんですが、その期間を過ぎたあとは業者が入札で購入できるんですね。いい自転車がいい金額で仕入れられるから、中古自転車をネットで販売するのはどうか、というのが最初のアイディアでした。これはいけるぞ、と思って進めていたのですがそもそも入札に参加するための低めの壁にぶつかってしまい、振り返えったときに、本当にこれがやりたいことなのかわからなくなってしまい、話し合いの結果あっさりとその事業を辞めることにしました。

-ドバイなどの中東で放置自転車だった日本のママチャリが結構乗られているというのは聞いたことがありますね。

北見 偶然なんですけど、3年くらい前に、本屋をぷらぷらしてたら「放置自転車で10億稼ぐ」という本を見かけました。すぐに買って読みましたがアイディアのレベルは僕たちが考えていたものとそれほど変わらないなと思ったんですよね。放置自転車を売るというアイディアは、思いつく人もかなり多いと思います。この時気づきましたが、だいたいどんなビジネスでも1万人の人が思いついて、その中の100人が実際にやってみて、さらにその中で1人気合い入れてうまくやった人が成功する、そんなものなのかなと思ってます。

-その後はどうだったのでしょう。

北見 クーポンサービス、留学生の就職支援、大学の教科書の電子書籍化などいくつかのアイディアを実行してみました。なかでも、クーポン事業は「ガチャでココ」というサービス名で、ホットペッパーもヒットしたし、グルーポンが盛り上がっているタイミングだったので、かなり力を入れて実行しました。名前もナタデココみたいな感じで気に入っていました(笑)クーポン系のフラッシュマーケティングがめちゃくちゃ流行っていた時期だったので、そこに逆行してリアルなものをやってみようという試みでした。ホットペッパーだとそこに載っている店舗同士でもまた競争が生まれてしまうのに対し、ガチャポンでクーポンが出てくるという感じのサービスでした。大学生を中心にお店を安さで選ぶ人を対象に、ガチャでクーポンを引いて、そのお店に行ってもらうというものです。

ガチャを置いてもらうのが大変そうですね。。。

北見 企画書を持って、ガチャを置いてもらう場所を営業かけたけれど、実績はあるんですか?という話になって、どこも話を聞いてくれませんでした。横浜に住んでいたので、横浜駅近辺を中心に営業かけましたが、唯一とある裏路地に設置できることになったのですが、裏路地に1つだけ置いても誰もやってくれないですよね。飲食店にも同時に営業していて、いくつか掲載OKのお返事はいただいていましたが、結局ガチャがどこにも置けず、2ヶ月動いて撤退してしまいました。起業する人なら誰もがぶつかる「実績」という壁を突破することができなかったのは、純粋に当時の自分たちの実力不足だったと理解しています。

-かなり多くのことにチャレンジしたんですね。

北見 5万の資本金しかなくて、お金がない中でお金を生み出すということを必死に考えてやってきたのですが結局全部うまくいかず、気がつけばメンバーの借金を合わせて4人合計500万、ぎりぎりリボ払いで食いつないでいるという状態でした。そろそろガチで稼がないとヤバいよね、と思っていた時にあることに気がついたんですよね。4人のうちの1人がたまたま行政書士の資格を持っていたのでこれを使おうと。僕たちも株式会社を立ち上げた時にとある行政書士の先生に手続きをお願いしていたので、会社設立のサービスの流れとかがなんとなくわかっていたんですよ。それで今度は行政書士事務所を立ち上げて会社設立をやろうという話になったんです。

-すごい方向転換ですね。

北見 調べたら手数料が1番安いところが3万円くらいだったので、当時の安直な考えですが、そこよりも安くやればいけるだろうと思いました。
行政書士事務所を開いて、WEB制作の本を買って、本の通り忠実にWEBページを作って、最安値から5,000円安く、25,000円の値段設定で始めました。運が良かったと思うのは、5年前はWEBを使いこなせている競合がほぼいなかったので、しだいに検索で上位表示されるようになって、お客さんも少しずつ入ってくるようになりました。お客さんとの会話からニーズを引き出して会社設立の次には資金調達サービスも始めて、徐々にサービスを拡大していくようになったんです。

-ウェイビーが波に乗ってきたわけですね。

北見 やりたいことがないまま稼がなきゃまずという状況で、稼げるもの(?)に飛びついて会社設立のサービスをなんとなく始めたのですが、いまでは起業する方々の力になれたらいいなと心から思っています。

-なにかきっかけがあったのですか?

北見 会社設立をされるお客様はみんな夢とか熱い想いを持っていて、それを本当に楽しそうに話してくれるんですよね。それまであまりそういった人に接する機会がなかったこともあって、“起業家”という存在に大きな衝撃を受けました。1件1件会社設立を行っていく中で、この人たちの力になりたい!という想い徐々にが芽生えてきたんですよね。
さらには僕たちが接してきた起業家のように楽しんで働く人が増えたらどんなに良い社会になるんだろうと思うようになりました。もちろん仕事って楽しい事ばかりじゃないですよ。筋トレも勉強もやってるときは楽しくないけれど、大きな目標をクリアしたときに得られる達成感というのは絶対あると思います。スポーツも日々の血の滲むような努力があって試合に臨むわけで、だから勝った時に本気で喜ぶ事ができたり感動したりするんですよね。これが結果として“楽しい”ということなんだと思います。仕事も同じで、僕も100%で仕事に取り組みたい。仕事を通じて涙する程の感動をつくっていきたいですよね。

-楽しそうな仕事って本当に魅力的ですよね。そもそもですが、なぜ人は働かなければならないのでしょう。

北見 仕事とは自分と社会との窓口だと思っています。学生時代、みなとみらいのレストランでバイトをしていたとき、サプライズで誕生日をお祝いすることが多かったのですがその場を自分が演出して、仕事を通して人を喜ばせていることに喜びを感じていました。誰かを喜ばせたり幸せにすることがやっぱり自分の幸せなんだと思います。家族、友達を幸せにしたいと思うは当然ですが、その外側の人を幸せにするのは、仕事しかないんじゃないかなと思うんですよね。

-なるほどです、ではウェイビーが仕事を通して実現したいこと、目指しているのはどんなことでしょうか。

北見 起業家とともに世界を変えたいと思っています。たとえばアメリカの開業率は約10%、それに対し日本は5%程度なんです。行政も開業率10%を目指してはいますが、勇気ときっかけをくれる場がもっと必要だと思っています。働く人についても、毎日の多くの時間を仕事に割いているのだから、仕事を本気でやっている人とそうではない人では充実度も違うはずです。40%の力で仕事をしている人もいれば、500%くらいの力でやっている人もいる。そういう人の話は本当に魅力的だし、その人は自分も、そしてまわりの人も幸せにできると思います。ウェイビーでは、そこに行くとみんなが笑顔になるような空間を作りたくて、ディズニーランドのようなものを作りたかったんです。

-起業家と一緒につくるディズニーランド的なもの、そこにいると自然と笑顔が生まれるような場所はとでも魅力的ですね。

北見 そういう場所が生まれていくために、まずは楽しそうに働く人を増やしていければ思いますし、起業しやすい環境づくりを草の根的にやるのが自分たちの使命だと考えています。いままさに求められていると感じています。

-起業向けのイベントもやっていますよね。

北見 TERAKOYAというイベントで、いつかなにかやりたいけどまだ一歩踏み出せていない、こういう方達にきっかけを与えられればと思ってやっています。主に起業したいけどできない要因は「自分」と「環境」の2つです。「自分」はコントロールできるとしても「環境」はコントロールしずらいですよね。実際、起業している友達が多い人の方が起業していますし、起業しやすい環境にいると思います。TERAKOYAでは、起業している人に触れてもらうことで似ているような環境づくり、それらの連鎖を作っていきたいです。ぼくもそう言われててきましたが、周囲に起業したと言ったら「すごいじゃん!」という反応をする人が多いと思います。でも起業すること自体は誰にでもできるふつうのことですし、周囲の反応もふつうのことになればいいなと思っています。

-日本だから、日本人だからということもあるのか、起業している人がまったく周りにいないという環境はたしかに、1歩踏み出しづらいですよね。

北見 少人数制の起業塾もたくさんありますし、そのコミュニティだと10人とか20人の内の1人になってしまうので参加しずらかったり、試しに行ってみるのもハードルがあるかしれないけれど、イベントに参加する形だと、1000人の中の1人なのでハードルは低くなります。そこで起業家やそれを目指す人と出会うことで、起業家もふつうの人間だし、それを目指している人もふつうのひとだよってことを知ってもらう機会になればと思います。

-コワーキングスペースを新しく作ったのも起業家の環境作りのひとつだと思いますが、どんな狙いがありますか?

北見 僕たちはこれまで環境作りとしてのイベントをたくさん行ってきました。当然今後も継続していきますが、やっぱりイベントだと一過性のものになってしまう部分があるんですよね。誰かがイベントを開催しないと参加できないわけです。だから、そこに行けばいつでも起業に触れる事ができる、切磋琢磨できる仲間がいる、そんな“場所”を作りたいと思ったんです。起業は、夢や実現したいことを現実にする手段のひとつです。日本という国が夢であふれる国になったらいいなと思っていますが、まずはこのコワーキングスペースから夢であふれさせる、つまり多くの起業家を輩出していきたいと考えています。

-日本でもスタートアップという言葉が流行のようにでてきましたが、起業しやすい環境が整ってきていると思います。たくさんの起業、起業家を見てきたと思いますが、日本もなにか変わってきているのでしょうか。

北見 企業で働く以外にも、起業したり、田舎に移住して仕事を本当に幸せそうにやってる人もいるし、人それぞれの幸せを目指せる社会になっていると感じています。幸せの多様化、価値観の多様化が進んでいて、ここが自分たちの行くべき道なんだと誰もが同じ道を歩まなければならないと信じられていたものが完全に崩れたと思います。いろいろな幸せ、いろいろな価値感が生まれてきている、それにともなってライフスタイルから働きかたまでガラッと変わってきていると思うんですね。時代の流れからも起業する人は求められていますし、増えてくると思います。僕たちもこれまで以上に起業を全力応援し続けていきたいですね。

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