FCNの手作り弁当が運ぶ子どもの未来

FCNの手作り弁当が運ぶ子どもの未来

2016年6月22日
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「子どもはすぐに成長するから、時期とかお金が貯まるのを待っている時間はない」と話すFCN株式会社 代表 椎名伸江氏は急いでいる。椎名代表はFCNを「農(Farm)」「子(Children)」「食(Nutrition)」をつなぎ、日本食を広め、食を大切にする子どもを育てたいという強い思いで立ち上げた。FCNでは、栄養士である同氏が考えた、毎日変わるオリジナルの献立を、手作りで子どもたちの手に直接届けるというサービスを展開している。3月には2店舗目となる自由が丘店を立ち上げたばかりだが、9月に世田谷店、4店舗目となる豊洲店の計画も、日々の献立・お弁当作りの間隙を縫って進めている。
日本を取り巻く「食」にまつわる問題は多岐にわたり、供給側から見た食料自給率や食品破棄等の問題だけでなく、消費側も問題が山積みだ。「貧しい食卓」と言われるような小言や愚痴の多い食卓、テレビや携帯電話ばかり見ている会話のない食卓や、子どもがひとり、もしくは子どもたちだけで食べる「孤食」、「欠食」「偏食」などによる問題だ。これらが成長期の子どもに及ぼす影響は大きく、体調不良や成長した後の会食不能症(家族や1人、他人の中でも食事、外食はできるが、学校や職場の人や恋人など、ある程度知っている人との食事ができないという食行動異常)、精神不安定、小児生活習慣病、肥満などを引き起こす可能性がある。
子どもの成長が描く曲線に重ね合わせるように、自らの成長も加速させているFCN椎名代表に起業時、そしてFCNが描く未来について聞いた。

-まずはじめに、起業を決意したきっかけ、なにを解決しようと思い立ったのかを教えていただけますか?

椎名氏(以下、敬称略) 前職の学校栄養士のときに、生徒や親から高く評価していただき、その学校の給食が東京都から表彰を受けたことがありました。学校では、子どもが親に和食が食べたいというようになったとか、共働きで子どもに夜ご飯を食べさせられなくて困っているという話をよく聞いていたので、これを解決できないかなと、学校栄養士としてできることはすべてやったと思えたので、次のステージに行くことを決めました。また、学校栄養士としての自分にできることは学校の範囲内だけだから、もっと大勢の学校外の子どもたちにもなにかできることはないかという思いもあったからです。

-思いったらすぐ行動してしまう性格で、決意してからすごいスピードで起業されたとお聞きしています。リアンプロジェクトというピッチイベントで優勝もされていますよね。

椎名 実は、リアンプロジェクトのとき、起業して1年経ったタイミングで、どん底の状態で店を畳もうかと思っていました。友人に相談していたら、辞めるのもいいけど、もうちょっとがんばりなよと言われ、後日友人が紹介してくれたのがリアンプロジェクトでした。ここが本当に大きなターニングポイントになりました。

-どん底というとどのような状態だったのでしょう

椎名 起業時に500万円を借りたはいいものの、平日の売上が1万円ほどしかない状態でした。一方で夏休みになると1日10万円を超えるときもあったりと、売り幅が激しい時期で、平日にどう稼ぐかを本当に悩んでいました。夏休みになると1日250食を2人で作り、買い出し、仕込み、配達までをすべて自分たちだけでやりました。共同創業者がその後辞めてしまい、2人体制でなんとか乗り切れたものの、1人で来年の夏休みを乗りきれるのか心配で、次の夏休みがくるのが少し怖かったです。

-夏休みを楽しみにする子どもと残酷な対比ですね…

椎名 それからは、仕込みから配達までをすべて自分1人でおこなう日が1年間つづきました。1人で作って届けてとやっていましたが、このまま1人でやっていたら量もエリアも増やせないし、どうしていいか本当に悩んでいましたが、リアンプロジェクトの期間中に1人、受賞後のラジオ放送を聴いて応募してくれた方を1人採用できて、無事夏休みも乗り越えることができました。さらに昨年の冬からは、平日に学童におやつを届けることで平日の売上も確保できるようになりました。そこからやっと、加速的に事業を展開できるようになりました。

-リアンプロジェクトでの優勝が本当に大きかったんですね

椎名 周りの方は事業性として素晴らしいものばかりで、FCNは優勝に値しないと本当に思っていました。受賞後、他のコンテストを受けないかとのお声もいただきましがが、シビアに売上や事業規模を見られるコンテストでは事業性が弱いと言われ、予選で落ちたりもしました。こんなにギリギリの状態でやっていて、事業としては成り立っていないけど、受賞できてしまった。あまりに想いだけで受賞してしまったので、がんばれの意味でいただいた賞だと思っています。でも、こういうビジネスが成り立つということを証明しなければならないとも思っているので、いまはスピードを持って、事業を拡大しています。今年3月に自由が丘に2店舗目、9月には世田谷に3店舗目、豊洲に4店舗目を予定しています。

-すごい急加速ですね

椎名 FCNのサービスを必要とする子どもは本当にすぐに成長するから、和食に触れないまま親になってしまうかもしれない。1人でも多くの子に「いま」届けたいですし、時期とかお金が貯まるのを待っている時間はないんです。

-ピッチイベントに参加した前と後でなにか変わったことはありますか?

椎名 様々なメディアに取り上げてもらって、多くの人にFCNを知ってもらうことができました。子育てにお弁当というのはお母さんにとって相当ネックになるのですが、困っているお母さんにFCNのお弁当が徐々に届くようになってきていると思います。

-ご自身の変化としてはいかがでしょうか?

椎名 畳まなきゃやばいと思っていたけど、めげたり辞めたりはできないなと。錚々たるメンバーに後押ししてもらって、辞められなくなりました(笑)リアンプロジェクトの第1回目の優勝者として成功しているところを見せたいなと思っています。

-なにか新たにやってみたいことはありますか?

椎名 朝から食べられる定食屋や、お弁当の受け渡しができて、昼は主婦や地元の人がくる、夜は共働きの人がご飯食べにきてくれる、そこで家庭の味を食べてもらえるような場所をつくりたいなと思っています。ずっとベビーシッターをやっていたので、忙しいお母さんの見方になりたいです。社会として子どもを育てて行けるような環境づくりをしていきたいと考えています。
さらに、いまは大人向けにはできてないですが、子どものお弁当取りに来て、実際にご飯も食べてもらえるスペースをつくりたいと考えています。お弁当は広域に配達しているので、食べにきてもらうお店は地元密着でやりたいです。定食しかないですが、日替わりで手作りのものを届けたいと思っています。

-これからのFCNが目指すコト、世界はどういったものでしょうか

椎名 子育てをしやすい環境を食を通して提供していきたいと考えています。親御さんには、いざとなったときにFCNがいるなとか、食についてはFCNがいるから子どもがもうひとり産めるなと思ってもらえるような環境づくりをしていきたいです。もっと言うと、FCNがやらなくてもそういう地域の方がやったり、子どもをみんなで育てる文化、社会ができればいいなと思っています。

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