ファストファッションの裏側、真の代償

ファストファッションの裏側、真の代償

2016年5月18日
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「真実」と向き合えるイベント「ゲリラシネマ」とは

16日、代官山でおこなわれたイベント「ゲリラシネマ」は、ニューヨークを拠点としローカルな取り組みやカウンターカルチャーシーンを配信するウェブマガジン『HEAPS』、そして同マガジンが運営するメディアの『Be inspired!』が主催する、「知って、考えて、行動する」がコンセプトのドキュメンタリー上映イベントである。第1回目となる今回は、ファストファッションの裏側に迫ったドキュメンタリー『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』が上映され、ファッションの裏側にある「真実のコスト」を来場者たちは知ることとなった。

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近年、ファストファッション業界が大きな盛り上がりを見せている。
安価でデザイン性の高いものが購入できる、という点が何よりウケている理由だろう。ハイブランドとのコラボレーションなども活発で、なかなか普段手が出ない憧れのブランド品が手の届く価格で入手できるまたとないチャンスに、開店前からお店の前に長蛇の列ができる光景もよく見かける。

華やかな話題の尽きないファストファッション業界だが、「何故こんなに安く買える・売れるのだろう?」、とふと不思議に思ったことはないだろうか。

今回『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』が上映された、その理由

皆さんは、「カイラシュ・サティヤルティ」という人物をご存知だろうか。

カイラシュ・サティヤルティ

1954年にインドで生まれ、児童労働問題の解決に尽力した功績が認められたことから、2014年にノーベル平和賞を受賞した人物である。「カイラシュ・サティヤルティ子ども財団」を創設し、子どもへの暴力がない、子どもにやさしい世界の実現に幅広く取り組み、「児童労働に反対するグローバルマーチ」名誉代表なども務めている。

2015年にはTEDに出演し、『怒りで世界に平和をもたらす方法』というスピーチを行っている。

子どもの頃に靴磨きをする親子に出会い、学校に通う自分との差に疑問を持つように。26歳のときに、児童労働や人身売買から子どもを解放する団体「BBA/SACCS・南アジア奴隷解放連盟」を設立する。これまでに解放した子どもの数は8万人以上。「児童労働のないカーペット」にラベルをつけるラグマーク(現在はグッド・ウィーヴ)を構想。消費者や企業に対し、ポジティブな形での消費やビジネスの選択肢を与えることに成功した。その他にも、彼が発起した1998年の「児童労働に反対するグローバルマーチ」は、世界103カ国、7万人以上、五大陸8万キロをつなぐ世界的ムーブメントとなった。

ゲリラシネマ〜『The True Cost』特別上映イベントページより引用

2年前、ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ氏の来日を記念しての上映となったわけだが、「知って、考えて、行動する」という本イベントのコンセプト通り、カイラシュ氏がこの知られざる現状を会場に来た人たちが「知る」ことで、「考え」るキッカケとなり、普段意識していないところにある「真実」を一人でも多くの人に伝えるという「行動」を起こしてくれることを願っているという意味合いが含まれている。これが上映の最大の理由であり、カイラシュ氏が今回来日する上で強く心に抱いていたwill(意思、想い)だ。

本当のファッションとは何か、を考えることで真実が見えてくる

上映前にゲストスピーカーとして、下記3名が登場し、”本当のおしゃれって?”というお題の元、トークセッションが行われた。

・ 並河 進氏:1973年生まれ。社会貢献と企業をつなぐソーシャル・プロジェクトを数多く手掛ける。

・ 岡田 有加氏:INHEELS代表・ディレクター。慶応義塾大学総合政策学部卒業。「who said ETHICAL is not sexy?(エシカルがセクシーじゃない、なんてどこの誰が言ったの?)」がコンセプトのエシカルファッションブランドINHEELSを2012年に起業。Be inspired!で連載中。)

・ 尾崎 裕哉氏:尾崎豊の息子。1989年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業。幼少期の10年間をボストンで過ごす。「人種・貧困・環境などの社会問題を音楽という手段によって解決しよう」という志のもと、「Music save the Earth」を掲げてシンガーソングライターとして活動中。自身のラジオ番組『CONCERNED GENERATION』ではディスクジョッキーを務めていた。)

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岡田氏のファッションブランドINHEELSが掲げているエシカルファッション(地球環境に配慮した装いやアイテム、理論と感性の交差点)についての話を皮切りに、今回会場で来場者へ配られたTシャツ(このTシャツを作った工場の電力が太陽光と風力だったり、素材がエコ認証をmaniaかってくらい沢山とってるものだそうで、今回はチケット代の中に1,200円という原価で盛り込まれていた)についての話や、乳首が透けない男性向けの白Tシャツの制作をすることでエシカルなものを浸透させるなど面白おかしく掛け算しながらこの思想を広めていきたい、という話で盛り上がった。

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そして、いよいよ本題に差し掛かったところで、カイラシュ氏と岩附 由香氏(1974年生まれ。認定NPO法人ACE代表。1997年にACEを起業し、代表に就任。会社員、国連機関スタッフ、通訳などの職と平行しボランティアで活動を続け、2007年からACEの活動に専念。目指しているのは「人とつながり、力を引き出し、社会を変えるエネルギーを生み出す」こと。)が登場し、会場の熱気は最高潮に達した。

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カイラシュ氏は質疑応答の中で、「先進国の若者達にはエネルギー、やる気と熱意、そして理想がある。あなたたちには世界を変えたいと願う気持ちもあるはずだ。そんなあなたたちだからこそ、できることは沢山あると思っている。この国の中だけでなく、世界に向けて発信ができる様に政治についても働きかけをしていってもらえたら嬉しい。私は若者に対して信頼を持っている。あなたたちは何かしらの実現したいことがあり、それを世界や、この国、また、仲間や家族や友人たちに示したいと思っているはずです。一人一人が、今ある状況を変えていくという資質を持っていると私は信じています。私は、あなたたちに、世界には衣服のサプライチェーンの中に児童労働が存在し、そのせいで一億人を超える子供たちが自由を奪われている現状があり、あらゆる機会を奪われているという事実を知っていただきたいのです。私はあなたたちにこの子供たちを救ってくれとは言いません。ただ、彼らの状況をソーシャルメディアなどを活用して、一人でも多くの人に伝えて欲しいと願っています。」と、熱弁した。

「真実のコスト」とは何か、一歩踏み出して知ってみよう

イベントの最後に、『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』が上映された。
これは、「ファストファッション」の裏側など、発展途上国の過酷な労働環境を映し出し、我々が普段着ている服の「真実のコスト」を描いたドキュメンタリー映画である。

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映画の詳しい内容については、実際にご覧頂きたいので多くは語らないが、正直これを見る前と見た後では服に対する考え方が180度変わってしまうのではないかという程、強烈な内容であることは間違いない。今までこの真実を知らなかったことが不思議に思えるほどに、大きな社会課題として認知されるべきトピックであることが実感できるだろう。

映画『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』は公開日の2015年11月14日(土)より東京都を除く全ての都道府県で「市民上映会」の開催ができ、カフェで、レストランで、ショップで、会議室で、公民館で、学校で、本作の上映が可能となっている。東京都では2016年2月1日以後市民上映会開催ができるそうだ。申し込みはこちらから行うことができる。

また、神奈川県CINEMA AMIGOでは5月29日(日)〜6月11日(土)まで再上映予定で、長野県シネマポイントでは5月14日(土)~5月27日(金)まで上映されている。

見えない真実を知る大きな機会を得に、あなたも『ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償~』をご覧になってみてはいかがだろうか。きっと、今我々が触れている物事の本来の姿に気づくためのキッカケを与えてくれるはずだ。

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