blue studio 大島氏が語る地域再生の鍵(後編)

blue studio 大島氏が語る地域再生の鍵(後編)

2016年5月16日
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ミシンカフェ+旅館「シーナと一平」


「シーナと一平」は、1階はミシンカフェ、2階は旅館という一風変わった作りのお店である。
このお店が生まれる背景となったリノベーションスクールのユニットマスターとして企画時からプロジェクトを率い、現在も運営会社株式会社シーナタウンの一員として経営にまで関わるblue studioの大島氏に、その真意について深くインタビューしてみた。本記事はその後編である。

blue studio 大島氏が語る地域再生の鍵(前編)はこちら

リノベーションスクール、そして株式会社シーナタウンとは?


リノベーションスクールとは、まちの遊休空間を活用して地域活性化を図る事業を立案するワークショップのことである。
事業計画コースでは、所有者から提供された豊島区内の実際の空き物件を対象に、国内の先駆的なリノベーション事業者であるユニットマスター(講師)と、全国から集まる受講生が一丸となり、具体的なリノベーションの事業プランを3 日間かけて作成する。

最終日は、物件所有者に向けて公開プレゼンテーションを行い、スクール後は、提案内容をさらにブラッシュアップを重ね、実事業化につなげていく。このリノベーションスクールの参加メンバーを中心につくられた運営母体のまちづくり会社が「株式会社シーナタウン」である。

物件単体のみならず、その物件のあるエリアの価値を上げ、地域を生まれ変わらせることができるのかを真剣に考え、エリアの再生を目指すことを目的として開催している。また、セルフリノベーションコースでは、実際の物件を自分の手でリノベーションしながら技術を学ぶことができる。

「つながる」ことが課題解決の糸口となる

– 本プロジェクトでは「つながる」というワードが非常に重要なポイントになっていますね。

大島 そうです。昨年3月のリノベーションスクール@豊島区の時に生まれた企画から今に至る一連のアイデアの先にある目的は、異なる世代、世帯さらには国籍同士が『つながるきっかけとなる場所』を作ることがひとつ、そしてふたつめに、それらの人々と椎名町商店街をつなぐということが挙げられます。

– それが「シーナと一平」の存在理由にもリンクしたのだと思いますが、「つながる」というポイントをより深く掘っていった結果、ミシンカフェ+旅館というスタイルをとったのはなぜでしょうか。

大島 着目点は『ミシン』であり『布』です。子育てする親は子どものために手提げ袋をつくってあげたりアップリケをスモッグに縫い付けてあげたり、布とミシンが必要なタイミング。高齢の女性はごく当たり前にミシンが使えます。その高齢者が椎名町の商店街にはいっぱい居る。ここに世代がつながる切っ掛けが生まれます。さらに世界とのつながり。『布』はどんな国の文化にも必ず存在します。つまり『布』は世界の共通言語と言っても過言じゃない。こんな観点から宿以外の部分の『つながり』を生み出す事業として僕らがたどりついたのがミシンカフェです。

“まち”のポテンシャルを引き出す鍵

Slack for iOS Upload-3

blue studioが発行しているタブロイド紙。暮らしだけでなく”まち”や人との接点を考察する独自のスタンスが詰まっている非常に読み応えある作品。

– 大島さんがプロジェクトにおいて基軸とされているやり方、スタンスや考え方などを教えてください。

大島 私たちはPlayerとして模範を示していきたいと考えています。やり方としては、無作為に試行するのではなく、小さなエリアに限定して、面で広げていくという着実なやり方を考えています。なかなかうまくいかない枠組みを壊すために戦うというスタンスではなく、ひとつひとつ丁寧に、きちんと対峙していくことが基軸であり、”まち”のポテンシャルを引き出すための鍵なのだと思います。
そして、今回「シーナと一平」の事業をスタートさせるにあたり、区長をはじめとした自治体のリノベーションまちづくりに対するご協力だけでなく物件オーナーの大きなご理解がありました。運営会社株式会社シーナタウン」を設立してしっかりと地域とつながり事業計画を立てて遂行した、という点もそうですが、それ以外にも地域はもとより多くの方々の関心と共感そして協力を集められたことがこのプロジェクトを進める上でとても大きな支えになりました。

継続的な互助の関係を生み出す様、デザインしていく

大島さんが描くシーナタウン(椎名町)の未来について聞いてみたところ、ゆくゆくは地域の人々と多様な人々が日常で交流する街ぐるみの旅館のような状況を構想しているという。課題は尽きないにも関わらず、未来を語る大島さんはニッコリと笑っていた。

Slack for iOS Upload-4

「IT導入などでは街の課題に対して根本的な解決にはなることは少ないでしょう。街は人同士のコミュニケーションで活性するものですから、お互いを意識し、互助の関係を構築できる仕組みが必要です。継続的な互助の関係を生み出すキッカケを作ることによって、中の人も外の人もロケーションの良さを実感できるのだと思います。新しく洒落たカフェを作ったとしても、いかにもカフェらしくしてしまうとことに高齢者などの客は構えてしまうところがあります。『シーナと一平』は商店街の古い商店の雰囲気をそのままに門戸を開けっぱなしにして、建物の中の景色が目の前に広がる状況を作ることで、ある種敷居が低くなり、年寄りも子どもも皆がそこに参入しやすくなるという心理効果があると考えてその様な造りにしています。」

大島さんの言う通り、「シーナと一平」の店の扉は開きっぱなしで、通りかかった人はその中を一望できる作りになっている。それが安心感を生み出し、古くから日本にあった長屋文化的な「互助の関係」が生まれることを促進させているのかもしれない。大人同士だけではなく、子供同士のコミュニケーションの場にもなっている「シーナと一平」に来れば、それを目の当たりにできるだろう。

世代間マッチングの仕組みを作ることでコミュニケーションの促進を図ると同時に、真のホスピタリティとの融合を行うために必要なマインドを育む場所として、今日も「シーナと一平」は老若男女で賑わっている。

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