インスタグラムからこぼれ落ちる下町で、宿屋をやるということ

インスタグラムからこぼれ落ちる下町で、宿屋をやるということ

2016年2月5日
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はじめまして。江本珠理と申します。

来月2月から、お宿+ミシンカフェ「シーナと一平」のおかみをやります。「シーナと一平」は、まだ工事の真っ最中でございまして、うまくいけば3/18グランドオープンの予定です。まずはお宿の方からオープンしていきます。そのてんやわんやの準備の様子や、出逢ってしまったおもしろいひと・こと・もの、を書いていきます。
今回はわたしが働くことになる「シーナと一平」について紹介させてください。

いまある旅館・ゲストハウスへの敗北宣言。

まずはあらゆる宿泊業を営まれているみなさまへの敗北を宣言させていただきます。
オープンまでの4ヶ月、準備を進めつつ「おかみ修行」と称して全国の色んなジャンルのひとに会いに行ったり、ご近所の旅館「ファミリーイン西向」さんに1週間ほど研修に行かせていただきました。その結果「日本や東京をメインにしたキュレーションやコンシェルジュ、宿の設備、立地その他もろもろを比べれば比べるほど、他に負ける。」という圧倒的な現実が判明しました。そもそも運営メンバーだれも宿泊業を営んだことがございません。

このままでは他の宿泊施設が選ばれてしまう。ではわざわざ椎名町でお宿をやる、おかみをやる意味ってなんなのか。

日本でも東京でもなく、”椎名町”に尖る。

それはもう「椎名町特化型おかみの存在」しかないんじゃないか。つまりわたしのこと。「おかみ」がまちでつながりを作れば作るほど、お客さまが行きやすい椎名町のお店や場所が増える。関係づくりができていて、こちらを信じてもらえれば、まちのひとも安心して外国の方を受け入れられる。商売をされていないパパママお子さまも、1Fのカフェを利用しつつ、外国人とコミュニケーションし始めてくれるかもしれない。「シーナと一平に集うひとはみんないいひと」と思っていただく。これが一番大事だと考え、目下、商店街に挨拶回りの真っ最中です。

それがめぐりめぐって、椎名町に今まで訪れることのなかったひととまちが出逢い、新しい未来をつくりだす。それがシーナと一平の最終目標です。

インスタグラムに残せない、それが椎名町。

ではそんな椎名町とは一体どんなまちなのか。その魅力をこの記事だけで表すのはとても難しいのですが、一言で言うと「インスタグラム的ではない」です。実はグルメタウンな椎名町にはもちろんフォトジェニックな場所もたくさんあります。たとえばこちら。

南天

駅前の立ち食いうどん屋「南天」の肉きゃべつうどん。SNSにアップしたくなるでしょう?

しかしながら、椎名町の本質はちいさな下町ならではの「ライブ感」にあるのです。

先日、こんなことがありました。

自転車でサミット通り商店街を駆け抜けていると、たまたま知り合いに会い、立ち話をしていると後ろで聞いたことのある声がする。振り返るとこれまた知り合いであるご近所のママとお子さんが。どうやらお惣菜を買っている。声をかけるとお惣菜屋のおばちゃんも一緒になって会話がすすみ、かぼちゃの煮付けの味見をさせてもらえる。よくよくお惣菜屋さんの話を聞くと、あまっている芋の天ぷらの切れ端を子供たちにあげているとのこと。この何気ない方法で子供の胃袋をつかみ、おねだりされたお母さんがここへお惣菜を買いに来る。というお惣菜屋さんの商売の仕方を学ぶ。

このような、偶然の連続とコミュニケーションの積み重ねは、ぜんぶでひとつの物語になるため、切り取ることができません。しかも派生してエピソードがどんどんつながっていき、予測は不可能。まさにライブです。これを、情報が流れゆくSNSで表現し、伝えることは難しい。それを裏返せば、だれかが直接足を運んで「体験」を「蓄積」する「旅」との相性が良い場所だということ。

お惣菜のむろやさん

お惣菜のむろやさん

こんな椎名町だからこそ、しっかりとお客さまに魅力をお伝えし、シーナと一平、ひいては「椎名町での滞在」を満喫していただく。その体験を提供できることが、日本や東京を訪れる方に選ばれる理由になるのではないかと思うのです。おかみはまちのメッセンジャー。そんな気持ちで始めます。

シーナと一平Facebookページ

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