故郷・陸前高田の写真を撮り続けて4年…世界的フォトグラファー畠山直哉のドキュメンタリー映画が公開

故郷・陸前高田の写真を撮り続けて4年…世界的フォトグラファー畠山直哉のドキュメンタリー映画が公開

2015年7月10日
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「フォトジャーナリズムの視点とは非常に性急なもの。そればかりでは、たとえそれが人の笑顔を捉えたものであっても、複雑になってしまった我々の気持ちをうまく解すことはできない」と語る、写真家・畠山直哉。2001年にイタリアで開催されたアートの祭典『ヴェネツィア・ビエンナーレ』において日本代表の1人にも選ばれ、現代美術の分野で認められた世界的なフォトグラファーである。

長らく自然と都市の風景写真を撮り続けてきた彼の転機となったのは、2011年3月11日に起きた、あの東日本大震災だ。岩手県・陸前高田市にある実家が流され、母を亡くして以来、彼は故郷の変貌する風景を撮影するようになった。打ちひしがれる想いと葛藤を胸に、この4年間で撮った写真は実に5000カットにも及ぶという。

そんな彼を2年間映像で追い続けたのが、映画監督・畠山容平である。彼にとって畠山直哉は大阪の映像学校時代の恩師。計らずも同じ名字を持った彼は、2012年の3月11日から断続的に撮影を開始。録り溜めた映像を編集し、ドキュメンタリー映画として7月下旬、渋谷イメージフォーラムを皮切りに公開する運びとなった。

映画のタイトルは『未来をなぞる』。作品の中では、それまで発表することが無かった故郷の風景写真を公表することを決めた写真家・畠山直哉の姿に密着し、「誰の為に何の為に、なぜ撮り続けるのか」という疑問と、「被災の果てに1人の写真家が見た未来への希望」というテーマを追う。現実社会と現代美術との狭間、通常のジャーナリズムとは異なる視点を持った彼の眼差しが、一体何を語るのかに注目したい。

 

大震災が引き起こした信じ難い現実を目の前に、多くの人々が何らかの行動をしなければという衝動に駆られたはず。畠山直哉とってその答えのひとつが、被災地となった故郷のありのままの風景を写真に撮り続けるという行動だったのだ。大震災の当事者である彼が表現者としての関わり方を模索する姿は、観る者にどんな想いを宿らせるのだろうか。

<畠山直哉プロフィール>

日本の現代美術を代表するアーティストの1人。1958年生まれ。筑波大学芸術専門学群にて大辻清司に学ぶ。東京を拠点に、自然・都市・写真をテーマに作品を制作。国内外と数多くの個展・グループ展に参加しており、2015年4月からアメリカのボストン美術館でも作品が展示された。

 

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